1月8日 あたたかきもののごとくに見てをりぬ母指頭大の雪のふれるを 雪積める屋根にゆふべは来たりけりまことさまざまの灯しのいろよ 流水の糸にゆびさき巻かれゆく心地するとき雪ふりそむる 雪ふれり雪ふるほどに積むほどにねむりのあなの深くなりゆく ふりそそぐ雪のさなかのうつくしき児をみづみづと妬むなりけり かきくらし雪ふりなづむこのやうな声に読まるる『二都物語』 雪雲は舞台のそでか薬玉や太鼓や鈴やしんとひそみて 雪道に吐息落としてゆくごとく乗用車扉閉めて去りにき扉=ドア きしきしと雪のひえゆく道の辺をゆびあざやかに歩きたりけり 曇天の鬱とふ文字をすこしづつ砕きてふらす雪とつもらす 天空に大きな鳥の孵るらし卵殻の粉が雪とふるゆゑ 雪つもるかな笹の葉にささのゆき柊の葉にひひらぎのゆき |